【長崎大学情報データ科学部誘致】建設等費用57億円に加え、約3800万円(年間)の負担は適切なのか?
長崎大学情報データ科学部誘致問題について、
激論を交わしました。
市長、理事とのやりとりを動画にまとめていますので、よかったらご覧ください。
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まちは、人によって栄える。ハコモノじゃない。手段は、ひとつじゃない。
初期投資額の57億円、将来にわたる維持管理費を考慮すると、(現在の長崎大学情報データ科学誘致計画は)大村市の身の丈に合わない。
新幹線駅前は、大村の未来を担う「ラストリゾート」(最後の切り札)だ。そんな簡単に安売りするべきではない。同学部は誘致したいが、
投資額が過剰なのだ。誘致できたら、どんな大村市になるのだろうか。将来像が見えてこない。残念ながら、大学側の歩み寄りは感じられない。
これを「両想い(後述)」と表現するのは、正直どうかと思う。
他の議員の質問を聞きながら、ふと想像した。大学誘致に投じようとしている費用(の一部)を奨学金、Uターン、Iターンのインセンティブ、起業家支援に充てたらどうなるだろうか。ひょっとしたら、大学キャンパスというハコモノより大村は活性化するのではないか。
昨年から引き続く、Vファーレンのクラブハウス構想といい、
まちをハコモノで埋めて安心しようという、甘えた幻想から脱却するべきではないか。
ハコモノを整備するのであれば、「市民会館」のように市民から愛用される、愛着を持たれるものではなくちゃならん。
この条件で、大学誘致することは大村市民の悲願成就と胸を張って言えるだろうか。
まちは、人によって栄える。ハコモノじゃない。
手段は、ひとつじゃない。
ここからは、質問のやり取りで判明したことをまとめておきます。
◆大村市の負担が大きすぎて、耐えられない。不確定なことが多すぎない?
新大村駅前の土地無償貸与、建設費用など57億円の大村市負担に加え、大学の維持管理費用約3800万円(年間)の負担を大村市に求めていることが明らかになりました。
初期投資額の57億円の内訳は、
国からの補助金・交付金が22.5億円、
市単独の負担は34.5億円だと説明を受けていますが、国からの補助金・交付金は確証がありません。
理事は「(補助金・交付金は)見込みより増えるかもしれないし、減るかもしれない」と答弁しています。
これは、市の願望に基づいた数字で議論しているようなものです。国からの補助金・交付金について、裏付けを取るよう求めました。私は、新型コロナウイルスの影響もあり、そんな甘いものではないと考えますし、考えて計画するべきなのです。
最大の論点となる、年間維持管理費用・約3800万円は、時限的なものではなく、キャンパスが存在する限り負担していくようです。
大村市出身の学生も数名は在学するでしょうが、大村市民の税金を国立大学の運営補助に充てるなんて、とんでもない話です。私だけではなく、ほぼ全員の議員が反対の論調。(活水女子大学看護学部には運営費の補助をしていません)
◆大学と大村市は両想い?巨額投資に見合う契約をするべき。大学側を拘束する条項を盛り込むべき
情報データ科学部が開校しても、経営状況(少子化、志願人数減少などの要因)によって、再び長崎市内の文教キャンパスに戻ることだってあり得ます。
この20年間、大学誘致において多額の補助をしたにもかかわらず、大学が撤退した自治体は少なからずあります。
私から、最低10年~20年間といった利用期間の拘束を条項に盛り込むべきではないか。大学側を拘束する条項を協議しているのか、確認をしました。
市長は「大学と大村市は両想い」として、協定書に期限を設けることは想定していなかったと答弁。これだけ巨額の投資を想定しているわけですから、大学側に一定の拘束をかけるべきです。
新大村駅前の土地、投じられる市税など、これは大村市民の財産の運用です。もっと慎重かつクレバーに、協議を進めていただきたいです。想定が甘すぎます。
◆大村市の「身の丈」に合う補助に限定するべき。そして3つの宿題を…。
最大の問題点は「大学誘致が目的化」しており、「長崎大学情報データ科学部を活かした大村の将来像」を描き切れていないことです。
松本崇前市長は、「大学は誘致したい。しかし、大村の財政力の身の丈にあった補助しかできない」(平成24年12月議会)と明言されていました。
現在の財政状況は、当時の財政状況よりも厳しいです。ボート事業の利益があるから、安定した予算編成が可能になっています。
大村市の「身の丈」とはどの程度なのか。まずは、そこを可視化、共有化しないと、次の段階に進めないと考えます。
私は、情報データ科学部誘致は実現させたいが、今の条件では厳しいし、市民の賛同は得難いと思います。
大学側が強気の姿勢で協議を続けるならば、一旦交渉を打ち切ってもよいと思うほどです。
質問の最後に、私から市長に対して、3つの宿題を申し上げました。
①市が拠出(負担)できる「身の丈」を可視化、共有化すること
②先行事例を研究、分析し、メリット・デメリットの可視化、共有化すること
※学生が本当に大村市内に居住するかどうか、現在の110名にヒアリングするべき
③情報データ科学部を活かした「大村のまちづくりの将来像」を明確化すること
市長もこの3つの論点には理解をしていただき、議会に示すことを約束してくれました。
新たな動きが議会に示されたら、すぐにアップさせていただきます。